DaisyBar

LIVE REPORT

2009.08 AUGUST

2009.8.25(火)
<クリープハイプpresernts“まいにち まいにち〜2nd
miniAlbumレコ発ツアーファイナル〜”>
クリープハイプ/ワゴンズ/THE COKEHEADS

 今年6月、2年9ヶ月ぶりとなる2ndMINIAlbumを発売したクリープハイプ。そのCDの発売から、この三ヶ月間、レコ発イベントや、タワレコ特典のフリーLIVE、小坂明子さんとの共演、各地へのツアーと精力的に動き回り、この日はそのひと区切り、締めのツアーファイナルとなるイベント。クリープハイプは、DaisyBarには、もう一年目から出演してきてくれているのだけれど、その当時から、なかなかバンドのメンバーが落ち着かず、そんな当時のバ ンド状況から最初は、VoG尾崎世界観の弾き語りでの出演だったと記憶している。 その時、彼の唄の強烈さと、その唄の物語の持つ力に 完全にやられてしまった。それはホントに、ついこの前の様に覚えているのだけれど、あれからもう4年。本当に月日の経つのは早い、と感じるけれど、その間にクリープハイプは、幾度かのメンバーチェンジを繰り返しながら、紆余曲折あり、昨年、尾崎世界観一人を残し、後はサポートメンバーでの活動という、本当に思い切った決断に踏み切った。それからも、更に試行錯誤を続けながら、このDaisyBarでも様々なメンバーと共にステージに立ち続け、唄い続けてきた。そうした中で、何度と無く素晴らしいLIVEを見せ、リスナーを増やし続けて来た。それも、尾崎世界観の持つ唄の力、曲の力であると思う。逆にこれまでのバンドとしての試行錯誤、紆余曲折は、自分の身の回りの風景、日常、人間関係から、創造され紡ぎ出され、湧き出てくる景色、物語を、早く描きたい、唄いたいという尾崎世界観のスピードに、尾崎自身も含め、バンドの技量や、バンドとしての成熟度がなかなか付いてこれてなかったという事だったのではないかと思う。そして、もう自分の唄さえあれば、一人でやる!、もしくはいろんな人とやる!、と、ある意味開き直った事で、気持ち的にも、音楽的にも自由になった部分は大きいのでは無いかと思う。
  この日は、先月、タワーレコード特典のフリーライブで初お目見えした、クリープハイプと以前から親交のあるバンドの面々で構成されたメンバー、4人編成。対バンのTHE COKEHEADS 、ワゴンズとキッチリとそれぞれが、貫録のステージを繰り広げ、会場も満員に膨れ上がった所で、クリープハイプ登場。アルバム中心のセットリスト。こうしてLIVEを見ると演奏に迫力がありつつも、唄をキチンと聴かせ、GROOVEを作り出すポイントを押さえた演奏を行えるバンドである事がわかる。LIVE終盤戦のMCで、バイト先の工場での日々と、そこで出会う人間臭い人々について語っていたけれど、その話にも妙に引き込まれた。何か、今のクリープハイプが表現したい事を垣間見れた様な気がした。そして日々の生活、毎日同じように繰り返し続いて行く日常の中にこそ、見つかる何かがある訳で、それがあるからこそ、こうしてハレの日が大事になって来る訳で、何て事をあらためて思ったりもした。彼が作る曲はいつも、彼がいるその時々の、彼がいる環境や風景をイメージさせて、私小説的にも聞こえるけれど、実際は、一人称が女性だったり、ファンタジックなシチューエーションだったりと、虚実が入り交じっていつつ、それでいてリアリティーがある。そんな名曲をバンバン作り出しているから、本当に恐るべし。この日も、最新のアルバム中心の選曲の中に、本編で一曲、そしてアンコールで一曲、計二曲の新曲が披露された。どちらもポップでまた聴きたいと思わせる楽曲。最近、受け手側の勝手な感想として、もっと清志郎みたいに、思った事をバンバン曲にしちゃう様なスピード感あるバンドがあっても良いんじゃないかなーと、思う事があるけれど、クリープハイプの多作ぶりは、そういう意味で気持ち良い。更に以前の曲でも聴きたい曲もたくさんある。ホントこの日も、本編終盤戦、「ピンサロ嬢になりました」とリフレインされる 「イノチミジカシコイセヨオトメ」から、最後、初期の楽曲「アメリカかぶれ」に向って上がって行く感じが素晴らしかった。正にこの怒濤の三ヶ月を締め括るに相応しく、また、今後のクリープハイプに益々期待が膨らむLIVEだった。(加)